新型コロナウイルスの影響で休校になった学校も多く、なかなか外出できない子どもも多いのではないでしょうか。自宅ではYouTubeやタブレットのゲームアプリばかりしがちですが、この機会に読書をしてみるのもおすすめです。
今回、「こどもの本屋 てんしん書房」の店主の中藤 智幹さんにぜひ読んでほしい本、紙の本のよさにも気づかせてくれる物語を教えてもらいました。今回は小学校高学年に読んでほしい３冊をお届けします。
高学年向けのおすすめ（1）
「冒険者たち ガンバと十五ひきの仲間」／斎藤惇夫, 薮内 正幸画／岩波書店
高学年だけでなく中学年の子どもでも読みやすい１冊。ドブネズミのガンバや、リスのグリックが大冒険をする、全３冊のシリーズです。今作の主人公はドブネズミのガンバ。ある家の台所の床下に暮らしていたガンバが、ひょんなことからイタチと戦う島ネズミを助けに仲間たちと船で冒険に出発！
強大な敵であるイタチに仲間たちと協力しながら、さまざまな知恵をしぼって挑む姿は感動的。「がんばれ！がんばれ！」と思わず応援したくなります。また個性豊かな仲間たちも多く、自分のお気に入りのキャラクターに出合えます。
「ガンバたちの冒険は、笑いあり、涙ありの物語。お気に入りの仲間がいたら、そのキャラクターを追いながら読み進めていくのも楽しいですよ」（中藤さん）
高学年向けのおすすめ（2）
「トムは真夜中の庭で」／フィリパ・ピアス作、高杉一郎訳／岩波少年文庫
海外のお話を翻訳したもので、１冊完結の物語。弟のピーターがはしかにかかったため、夏休みをおじさんとおばさんの家で過ごすことになった主人公の少年トム。大好きな庭もなく退屈だったトムは、ある夜に古時計が13回もなるのに気づき……。
それをきっかけに昼間にはなかった庭園を発見し、そこでさまざまな不思議な体験をしていきます。切なさもありながら、ちょっと驚きのラストにも注目です。
「はしかで隔離されて自由が制限された状況は、今と少し似ていますね。トムが体験する不思議な出来事を、ぜひ最後まで見届けてください」（中藤さん）
高学年向けのおすすめ（3）
「はてしない物語」／ミヒャエル・エンデ作、上田真而子、佐藤真理子訳／岩波書店
映画「ネバーエンディグ・ストーリー」の原作で、文字量やボリュームたっぷりの読みごたえのある１冊。
いじめられっ子の主人公のバスチアンはある日、古本屋で１冊の本「はてしない物語」を見つけます。その中では少年・アトレーユが、崩壊の危機にさらされた“ファンタージエン”を救うために旅にでます。物語を読み進めていくと、“ファンタージエン”とバスチアンがいる世界が交錯しはじめ、バスチアンは本の世界に飛びこんでいくことに……。
本の中の文章はバスチアンのパートが茶色の文字、“ファンタージエン”の世界のお話が緑色の文字に分かれています。読んでいるうちにどちらの世界にいるのかどんどんわからなくなり、読んでいる自分も物語の中に入りこんだような気持ちになれます。
「読むときは文庫版ではなく、こちらのハードカバーがおすすめ。一層バスチアンと同じ体験を味わうことができます。読みごたえ十分で、きっと人生の１冊になってくれますよ」（中藤さん）
長く読めるシリーズものは、このあと始まる春休みなど、時間があるときにぴったり。読んだ本はいつか自分の経験の糧になるかもしれません。ぜひ楽しんで、読書をしてみてください。
本を教えてくれたのは…
こどもの本屋 てんしん書房
東京都文京区小石川5-20-7 1F
営業日 月曜定休+不定休
営業時間 10時〜暗くなるまで
取材・文／酒井明子
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