送り迎えなしに一人で通学できるのか、授業についていけるのか、そして、自分は仕事を増やすべきか……。子どもの小学校入学時に誰もが突き当たる「小1の壁」。
朝から夕方まで週5で働くフルタイムママは、どうやって壁を乗り越えたのでしょう? 多忙で時間がないからこその、効率化の工夫やフォローの方法を教えてもらいました!
(左)千葉県在住・島田千尋さん。息子8歳、4歳。9~16時半の時短勤務。とはいえ残業することも。学校の学童利用のほか、近くに住むおじいちゃんの力を借りたそう。
(中)神奈川県在住・島田有紀さん。神奈川県在住 息子10歳の双子。勉強のスピードも異なり、労力は2倍と感じたとか。子ども小1時の勤務時間は9~17時半で、学校の学童を利用。
(右)東京都在住・片岡牧子さん。息子11歳、娘 9歳。9~17時半勤務。時短がないので、子どもの放課後の居場所確保のため民間学童と学校の学童を併用して利用。
ママも子も忙しいという大きな壁
島田千尋さん(以下千尋さん)「子どもの小学校入学前から働いていたんですが、入学してみると保育園とこうも違うのか……と思うことが多かったですね」
片岡さん「確かに、自分も忙しければ、子どもも授業に、宿題に、明日の支度にと忙しく、常に時間との戦いですね」
島田有紀さん(以下有紀さん)「本当にそのとおり。効率的に行動しないと、どんどん睡眠時間が削られちゃう」
千尋さん「◯時にごはん、╳時にお風呂、とスケジュール管理をして、日々の生活をクリアしていく。このやりくりが、いちばんの壁だった気がします」
保育園、幼稚園と違い自己管理での成長が必要
片岡さん 「それから、小1になって保育園や幼稚園と違うと感じたのが、親に学校の情報が入ってこないこと。」
有紀さん「そう! 連絡帳がないので、先生とのコミュニケーションが保護者会まで取れず、学校内の様子がまったくわかりませんでした」
千尋さん「お知らせも手紙1枚で来るだけだから、子どもからちゃんと渡してもらえないと、大事なことを見逃すことも。情報が子どもを介して入ってくるから、中継地点で取りこぼすと、もうどうにもならないんですよね」
有紀さん「あと、小学校に入学して思ったのが、「保育園はなんて手厚かったんだろう!」ということ。例えば小学校の水泳の授業だと、泳げない子は安全面を考慮してか、泳げないまま。もぐって宝探しゲームをするくらい。先生が手取り足取り、泳ぎ方を教えてくれるわけじゃないんですよね」
千尋さん「鉄棒の逆上がりも同じでしたよ。先生にすべて頼れるわけじゃないんだと、実感しました」
片岡さん「クラスに 40人くらいいると、生徒一人一人をよく見るのは大変とわかってはいても、自己責任なんだ、と改めて気づかされましたよね。私は水泳の練習のために、仕事のあと18時半から市民プールで子どもに水泳を教えて、そのあとに夕食の準備をして……とヘトヘトになった時期も(笑)」
抜きどころをつくる、時間のメリハリが重要に
有紀さん「時間に追われる日々だから、 子どもの勉強を見るのも大変。私は帰宅後に家事をしながら横で子どもに音読をしてもらうなど、〝ながら見〞で乗り切っていますが、みなさんは?」
千尋さん「うちも同じ。そのために、子どもがキッチンにいる私と対面で勉強できるテーブルに替えました。あとで落ち着いて見る、その時間がありません。また自分が見られない分をフォローする意味で、公文に通わせました。好きなときに行っていいところだから、塾より融通が利くんです。学童へ迎えに行き、そのあと子どもは公文へ。 私はその間に家で集中して家事を片づけます。それでなんとか、一緒にゆっくり過ごせる時間を捻出しています」
片岡さん「メリハリが大事ですよね。 うちも夕食をつくっているときや朝食のときに音読を聞く、〝ながら見〞。夕食後の落ち着ける時間は、子どもの話を聞くためにとっておき、この時間は宿題をやらないことにしています」
ママ友ネットワークでの情報収集が欠かせない!
千尋さん「学校のことを聞けるママ友をつくっておくのも大切ですよね? 私は、子どもたちが遊ぶ公園へ行って、ママたちに声をかけて仲よくなりました」
有紀さん「私も、宿題や持ち物のことなどを気軽に聞けるママ友をつくりました。やっぱり、子どもからの情報だけだとあやふやな部分があるので」
片岡さん「私はそういうときは、女の子のママに聞くようにしています。というのも、女子は先生の話をよく聞いているし説明も上手な子が多いから。息子だけから聞くより客観性があって、 クラスのこともよくわかるように」
上手なマネジメントで子どもとの時間を捻出
有紀さん「P T A の役員は、お二人とももう終わりましたか?」
千尋さん「私は先輩ママに聞いて、負担が軽そうな小1のうちにやっちゃいました。仕事を休まなくてはいけない平日の集まりへの参加が厳しかったんですが、それもママ友と情報共有をすることで、なんとか乗り切りました」
有紀さん「私も、パートで働いているママ友とか、働くママと交代で参加する協力体制にしたら、集まりに出るのが年間 2 回くらいで済みました!」
片岡さん「私も働くママが多い係だったので、土曜の集まりが多くて。みんなで工夫をして、仕事へのしわ寄せを最小限にすることに成功しました」
有紀さん「全部を完璧にやるのは時間的にも体力的ににも難しいから、要領よくこなして時間をつくる工夫が大切。 心に余裕が生まれれば、子どもにも優しくできて家庭円満になりますしね」
片岡さん「私自身、仕事をマネジメントするときのように、プライベートもいろいろとやりくりを考えています。働くママは、効率的に回す力の優れた人が多いように感じます」
千尋さん「先回りして段取りしておいたり、態勢を整えておいたり。そういう管理能力が、壁を乗り越えるコツなのかもしれませんね」
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撮影/志波慎寿介 イラスト/熊野友紀子 取材・文/鹿志村杏子 構成/長南真理恵
Mart2020年3月号
パートもフルタイムも絶対悩む「小1の壁」に当たって砕けないためには? より