埼玉県民を盛大にディスりながら、興行収入36億円を超えるヒットとなったコメディ映画『翔んで埼玉』の続編が2023年11月23日(木・祝)から公開。~琵琶湖より愛をこめて~のサブタイトル通り舞台を関西に移し、今度は滋賀県民が大いにディスられます! 映画冒頭で、前作のおさらいがあるから続編から観る方でも楽しめますよ。滋賀県出身ライター・富田がネタバレなしでしっかりと解説いたします。
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』あらすじ
東京都民からひどい迫害を受けていた埼玉県人は、麻実 麗(GACKT)率いる埼玉解放戦線の活躍により、通行手形を撤廃し自由と平和を手に入れた。「日本埼玉化計画」を推し進める麗は、埼玉県人の心を一つにするため、越谷に海を造ることを計画する。
白浜の美しい砂を求め、麗たちは慣れない船で未開の地・和歌山へと向かうのだが……関西にも存在する“超・地域格差”に“通行手形制度”を目の当たりにする。そして、恐るべき大阪の陰謀はやがて日本全土を巻き込む東西対決へと展開していくのだった。
【見どころ①】不思議と郷土愛が刺激される関西ディスり対決
今作の舞台は関西。関西の中で“埼玉的ポジション”とされる滋賀が、映画が始まるなり「あんな琵琶湖ばかりのところに人が住める陸地があるか!」とバカにされております。そして滋賀ナンバーがついた車は、「滋」の漢字の造形から「ゲジゲジ」と呼ばれているという、地味に痛い部分も突いてきます。
滋賀県民の交通安全を促す看板、「とびだしとび太くん」は想像以上に大活躍しますので、県民もそうではない皆さんもお見逃しなく。なんと作品のために150体ものとび太くんがつくられたそうですよ。
他には滋賀の地元スーパー「平和堂」がキーワードとして度々登場。平和堂独自の「HOPカード」が小道具として使われたり、イメージソング『かけっことびっこ』が流れるなど全面協力。
滋賀県出身者としては、滋賀県在住の小学生が全員乗船する宿泊型の船「湖(うみ)の子」が出てきた上に、ご当地ソング『琵琶湖周航の歌』を滋賀解放戦線のメンバーが歌った時にはちょっとウルっときて今すぐ琵琶湖を見たくなりました。
しかし当然大阪も負けてはいません。大阪府知事役を演じた片岡愛之助さんが、ものすごい目力で「見てみぃ! これが大阪や!」とばかりに画面に迫ってきます。
大阪は大阪で、たこ焼きをはじめとする“粉もん文化”を盛大にイジられています。551のぶたまん、甲子園、阪神タイガース、ヒョウ柄のおばちゃん、吉本新喜劇など、これでもか!とコテコテの大阪を表現。実は映画の中で甲子園にはある秘密が隠されているのですが……そのシーンはあるハリウッド映画をモチーフにしていますので、ぜひ注目してください。
【見どころ②】リアルな“ご当地キャスト”がキャラ濃く大暴れ
今作では、関西出身の俳優やお笑い芸人が集結。大阪府知事役は大阪出身の片岡愛之助さんが池乃めだかさんを彷彿とさせる衣装で豪快に演じ、なんと奥様の藤原紀香さんと初共演。兵庫県出身の藤原紀香さんは神戸市長役で、大阪府知事とは夫婦という設定というのも遊び心を感じます。京都市長役は京都出身の川﨑 麻世さんが演じるほか、京都の女将役・山村紅葉さんが“いけず”な京都人として建前と本音を見事に使い分けています。
滋賀解放戦線のメンバーは、滋賀出身キャストが大集合。野生爆弾のくっきー!さん、堀田真由さんは近江晴樹・美湖という名前の兄妹役です。ダイアンの津田さんはリアル出身地「愛荘町」の旗を持って戦いに集結。髙橋メアリージュンさんは、滋賀のジャンヌダルク役で颯爽と登場します。
『翔んで埼玉』恒例のご当地出身有名人の自慢対決では、誰の顔が登場するかもお楽しみに。
【見どころ③】埼玉もきっちりイジられていますのでご安心を
ここまで読んで、あれ、埼玉どこ行ったの?と思われた関東の皆さん、ご安心を。関西での戦いと同時に、埼玉でも相変わらず横のつながりを巡って小競り合いが続けられております。永遠のライバルとされている、大宮 VS 浦和の争いも白熱した戦いが繰り広げられますのでご期待を。
魔夜峰央さんの原作を飛び越えて関西が舞台になったのを見ると、もしかして今後九州編とか(ターゲットは佐賀?)中部編(岐阜?)もあり得るかも……と妄想させてしまう武内監督。過去に『のだめカンタービレ』や『テルマエ・ロマエ』など振り切ったコメディをシリーズで成功に導いてきた手腕は『翔んで埼玉』でも存分に発揮されています。
皆さんも劇場で笑いながら、それぞれの故郷のことを懐かしく思い出してください。
作品情報
『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』
2023年11月23日(木・祝)より全国公開
- 出演:G A C K T、二階堂ふみ、杏、片岡愛之助 ほか
- 原作:『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』 魔夜峰央(宝島社)
- 監督:武内英樹
- 脚本:徳永友一
©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会