イベントシーズンの到来で、これから年末にかけてますます忙しくなりますね。今のうちにひと息ついて、パワーを温存しておきましょう。今月の「ご褒美TIMES」CULTURE編では、書店員さんおすすめの本をテーマ別に教えてもらいました。
ページをめくっていく達成感は本ならでは
心を豊かにしてくれる本とひと休み
ドラマの一気見も爽快ですが、本の読破もまた違った達成感があります。行間を読み、想像を膨らませ、自分を投影することで、これまで滞っていた考えがすっとひらけることもあるはず。
教えてくれたのは…
代官山 蔦屋書店コンシェルジュ/荒木智美さん
書店アルバイトを経て2014年に梅田蔦屋書店に文学コンシェルジュとして入社。2020年から代官山蔦屋書店へ。現在は料理フロアを担当。
【1】涙を流す余裕も大切「泣ける本」
(左から)
「ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集」
斉藤 倫 高野文子画 ¥1,200(福音館書店)
「ことばを通して大事なことを見つける二人。子どもが当然のようにおとなになっていく、あくまでまっすぐな姿に号泣」
「すべて忘れてしまうから」
燃え殻 ¥1,500(扶桑社)
「案外年ってとらないなと思う一方、どんどん消える記憶。忘れてはいけないような気がすることって結構あります」
「なでし子物語」
伊吹有喜 ¥720(ポプラ文庫)
「3部作の長編ながら、柔らかく易しい文章で一気読みできます。新しい自分を見つけて生まれ変わろうとする姿に勇気をもらえます」
【2】何も気にしない人になれたら「元気が出る本」
(左から)
「マカン・マラン」
古内一絵 ¥1,500(中央公論新社)
「何をやっても辛いとき、美味しい夜食で癒してくれるこんなお店があったら。超個性的な店主の言葉に、あなたの運命も変わります」
「さくらんぼジャム」
庄野潤三 ¥1,900(文藝春秋)
「山の上の老夫婦と、家族や友人との交流を描いたシリーズ。これが人生に通底する愛なのだなと、何度読んでも心が晴れます」
「人みな眠りて」
カート・ヴォネガット 大森 望訳 ¥920(河出文庫)
「愛情を含んだモラルに満ちた短編集。穏やかで優しくて小難しくなく、読書の楽しさがゆっくりしみ込んでくる」
【3】空腹時に読むのは危険です「美味しい本」
(左から)
「わたしを空腹にしないほうがいい(改訂版)」
くどうれいん ¥1,000(BookNerd)
「合間から漏れてくる青春のままならなさにキュッとくる。日々つくられる料理の美味しそうなことといったら!」
「世の中で一番おいしいのはつまみ食いである」
平松洋子 ¥630(文春文庫)
「何でもネットでできるけど、便利すぎて味気ないと感じたらこの一冊を。手で料理するってこんなにも簡単、美味しい」
「気ぬけごはん」
高山なおみ ¥1,300(暮しの手帖社)
「シンプルなごはんとありきたりな生活、何でもない日常を描いた本。余計なものを食べない暮らしに憧れます」
Mart2020年12月号 ご褒美TIMES より
構成/富田夏子