発売以来人気の高い無印良品の”画鋲”。画鋲ならではのお悩み改善に注力した名品ですが、完成するまでには、たくさんの苦労がありました。
教えてくれたのは
ステイショナリー 担当 Mさん
異動を挟みながらステイショナリー部門担当歴15年目。ステイショナリー数値担当も経験し、商品を熟知。
削る作業を繰り返すことで完成した画鋲の理想形
通常の画鋲よりも細い針で跡が目立ちにくい。半透明のつまみ部分もシンプルで主張が少なく使いやすい。針が細い画鋲 12個¥137
小さくても細かい部分までこだってつくられた画鋲。この商品に助けられたという声も多い、2013年に発売されました。
「 画鋲を開発することになり、刺したとき太い穴を壁に残したくないという声がありました。取引先のメーカー様が細い針を開発したことを聞き、その針を生かしてつくろうということになったのが始まりです。つまみ具合にこだわり、オリジナルでつまみの部分をつくることになりました。シンプルな見た目で、かつ刺しやすく抜きやすいものを目指し、押すところは広くてつまみやすいよう逆三角形の形に」
壁などに太い刺し跡を残したくない、という話から、抜いたときに跡になりにくい細い針を採用。
つまみはシンプルだけれども刺しやすく抜きやすい、を意識して開発に1年以上要したというこだわりのデザイン。
「デザインして金型を起こさなければならず、デザイナーさんが小さなつまみの試作品を自ら削り出して何度もトライ&エラーを繰り返し、1年ほどかかりやっと完成しました。今までは3Dプリンターをお持ちのデザイナーさんもいらっしゃるくらいなので、デザインした翌日には試作品ができるようなスピード感なのですが、当時はひとつひとつ発砲スチロールのような素材を削ってはつまんでみて、またデザインして削っての繰り返しで、よりよい使いやすさを追求していました。その苦労もあったので、この商品が今も支持され続けていることはうれしいですね」
イラスト/吉岡香織(asterisk agency) 撮影/中林 香 取材・文/西村絵津子 構成/上原奈緒
※お問合わせ先はすべて無印良品 銀座です。