今年も新米の季節がやってきました。炊き立てのご飯は何とも言えず美味しいですよね。お米を炊くときは炊飯器や土鍋など、電気やガスを使うのが普通ですが、どちらも使わずご飯が炊ける“野外炊飯器”があるのをご存知ですか?タイガー魔法瓶が100周年を機に提案した「魔法のかまどごはん」がそれ。一体、どんなものなのかご紹介します。
電気もガスも使わず、新聞紙一部でご飯が炊ける
タイガー魔法瓶から発売された「魔法のかまどごはん」。誕生のきっかけは近年急増する自然災害だったそうです。自然災害で被災した人たちへのヒアリングで、電気やガスが使えない中で温かいご飯が食べられず大変だった、逆にようやく食べた温かいご飯にホッとしたという意見を多く聞いたと言います。そこでタイガー魔法瓶が考えたのが、電気もガスも使わずご飯を炊くにはどうしたらいいかということ。
タイガー魔法瓶では愛着のある製品をできるだけ長く使って欲しいということで、補修用性能部品を10年間保有しているそう。ただ、この保有期間が終了した部品は廃棄されていました。この炊飯器の内なべを再利用できないかと開発がスタートしたそうです。炊飯器の内なべには水量目盛りが付いていること、IHジャー炊飯器の内なべが熱伝導に優れていることに着目。開発者が以前、青少年野外活動施設でのアルバイト経験を思い出し、新聞紙を使って直火でご飯を炊いてみました。
以降、素材や穴の数など、様々な条件を試し、実に70台以上の試作を経て誕生したのが「魔法のかまどごはん」です。電気もガスも不要、使うのは新聞紙一部。それで美味しいご飯が炊けるという野外炊飯器です。「魔法のかまどごはん」は陶器のかまどを採用し、昔ながらの“かまど炊き”の技を再現。温度が低い上部と温度が高い下部の温度差で対流が起こりやすくなり、ご飯が美味しく炊けるのだそう。
新聞紙44ページ分で5合のご飯が炊ける
火力は新聞紙のページ数(枚数)で調整するそうで、お米5合なら新聞紙44ページ、1合なら24ページ。新聞紙を1枚ずつ入れていけば簡単に炊飯できます。カセットボンベや薪、炭に比べて比較的入手しやすい“燃料”でご飯が炊けます。さらに炊飯後は灰を燃えるゴミとして捨てるだけ。被災地だけでなく、アウトドアでも活躍してくれます。
キャンプなどでは飯ごう炊飯をすることが多いですが、薪に火をつけたり、火力の調整が難しかったりと以外と手間がかかります。また炊きたりなかったり、焦げてしまったりとやや難しい印象。「魔法のかまどごはん」は新聞紙を使うので簡単に火がつき、新聞紙の枚数で火力を調整できます。さらにお手入れも簡単で燃え残りが出ないのもポイント。
では実際にどうやって炊飯するのかというと。まずは準備として“新聞紙燃料”を作ります。新聞を折ったりひねったりしながら棒状にまとめます。これが燃料。お米は洗って吸水しておきます。これは通常の炊飯と同じですね。
炊飯工程では、新聞紙燃料を入れて火をつけ、1分30秒ごとに新聞紙燃料を1個ずつ、右と左交互に入れていきます。これで温度を上げていき、9分経ったところで1分ごとに新聞紙燃料を1個ずつ左右交互に入れ、19分たった最後に新聞紙燃料を1個入れて15分ほどむらします。
慣れるまでは細かく時間を計るのが少し面倒に感じるかもしれませんが、新聞紙だけでご飯が炊けるのは感動!アウトドアシーンで何度も実践しておけば、もしもの時にも炊き立てのご飯が食べられるようになりますね。まだまだ気候のいいアウトドアシーズンが続きそうなので、ぜひ「魔法のかまどごはん」で新米を美味しく炊いてみてください。
タイガー魔法瓶オンラインストア:https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/product/rice-cooker/kmd-a/
取材・文/岡部礼子