魚嫌いの子どもにも! 日本料理のプロのが教えてくれた「魚の干物」でつくれる簡単ごはん

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お魚料理、作っていますか? 肉に比べて魚は苦手というお子さんも多く、下処理など調理もひと手間かかることから、なかなか気軽に作れなくて…という方も多いのでは?「そういう方には、ぜひ魚の干物でのお料理をお勧めします」と日本料理の料理人のうすいはなこ先生。実は炊き込みご飯やパスタ、カレーも作れる”万能食材”なのだとか! 早速お話を伺いました。

味付けも不要で時短調理 干物が万能なワケ

料理教室にいらっしゃる生徒さんから、「もっと魚を食べたいけれど、下ごしらえが大変」「生臭さが苦手な家族がいて」「時間がなくて魚料理はつくれない」と、日々の家庭料理の中で魚を食べるハードルの高さを感じたうすい先生。もっとさかなを気軽に食べて欲しい、ならば調理も保存も簡単な「干物」ならハードルが下がるのでは?と干物料理にスポットをあてたそう。「干物はかつて冷蔵庫がなかった時代に、日本の食文化が生み出した保存食。昔は塩を多くふり長い期間干していたので塩辛い食べ物でしたが、冷蔵庫のある現代に作られている干物は、塩加減も強くなく、干すことによってできたうまみ成分がのっているため、複雑に味付けする必要がないので減塩にもつながるんですよ。さばく必要もなく、火を通すだけでよいので時短調理にはもってこいです」。干されていることで栄養価も美味しさも半減しているのではないかと、勝手に思っていた筆者ですが、うすい先生に伺うと、干物も生魚も栄養価はほぼ変わらないとのことにまた、驚きました。


天日干ししたもの、風をあて水分を飛ばしたものなど干し方はいろいろ。干して乾燥させたことで保存性が高まり、うま味も生まれます。

上手な干物の選び方は色や目を見て判断を

どんな干物がお勧めなのか伺いました。「魚の種類や切り方、開き方などで多くの種類があるのですが、お勧めしたいのはソフトタイプの干物です。身も柔らかく食べ応えがありますし、骨をとるのも簡単ですよ」。魚屋さんやスーパー店頭での選び方は「パックに入っているものならば、水分(ドリップ)が出ていないかをチェックしましょう。身の色が黒ずんでいるのも、劣化している可能性が高いです。冷凍、冷蔵はお好みで。また、頭つきの干物ならば、ぜひ魚の目をチェックしてくださいね。きれいな目のものは、やはり新鮮です」とのこと。

洋食にも中華にも! フライパンで焼いた干物で作る絶品炊き込みご飯

また、魚の干物というと、ご飯とお味噌汁とともにいただく和定食のイメージがとても強く、家族1人に1枚焼かないと…と思いがちですが1枚でも十分、家族分が作れるとのこと。その代表例として、1品、Mart webのために作ってくれました。

「サバの干物とトマト・梅干しの炊き込みご飯」

【材料】 
サバの干物(ソフトタイプ)……………1枚
米……………………………………………3合
ミニトマト………………………………12個
梅干し(小)………………………………2個
酒………………………………………小さじ1

【つくり方】
1. サバの干物は、両面焼き目をつけます。「魚焼きグリルでもよいですが、フライパンでも焼けますよ! 水を少しだけ入れたフライパンの上にフライパン用のホイルを敷き、両面焼きます。
2. 米を研ぎ、炊飯器の釜に移し白米を炊く時の水を入れる。焼いたサバの干物と、カットしたミニトマト、梅干し、酒を入れ炊飯器にかけ、白米コースをスタート。
3.炊き上がったらサバを崩しながら混ぜる。この時とれる骨は取る。
4.しゃもじでサバを切るようにしながら混ぜ合わせます。「完全に骨はとれないかもしれませんが、焼いた干物の骨はパリッとしているので、食べられますよ」
5. 茶碗によそい、あれば刻んだ大葉をのせる。

 

1. サバの干物の両面に焼き目をつけます。

2. 研いだお米と、焼いた干物、カットしたミニトマト、梅干し、酒を入れ炊飯器にかけ炊く。

3. 完成!炊飯器を開けると、この通り。

4. サバを崩しながら混ぜる。この時とれる骨は取る。

5. 4を茶碗によそい、あれば刻んだ大葉をのせる。

早速いただきましたが、サバの旨味と香ばしさ、トマトと梅干のさわやかな酸味が一体となり美味しい! うすい先生がおっしゃるように、調味料は酒しか入っていないのに十分な味わい。これだけあれば! という一品なので、ぜひ作ろうと思いました。野菜も一緒に食べられるのも嬉しいところ。アジの干物×とうもろこしや枝豆、カマスの干物×さつまいももお勧めだそうです。また、今回教えていただいたレシピに、オリーブオイルと白ワイン、あさりなどを加えれば洋風のリゾット風炊き込みご飯に、梅干しではなく豆板醤、コチジャンなどを加えれば、中華・韓国風炊き込みご飯にと展開できるそう!

干物って「和の一品」のイメージのみの存在だったのですが、うすい先生のお話を聞いて考えが改まりました。おうちごはんが続く中では、簡単に魚料理がいただける救世主食材。調理方法で、パスタやパン、洋風のアクアパッツアなど自由自在にできるそうです。いろいろ試してみたいと思います!



8月末に発刊されたうすい先生の著書本「手間、塩いらずでうま味たっぷり 干物 料理帖」(96ページ 日東書院 ¥1,200)では、洋風レシピのほか、干物の基礎から知れる情報がたくさん載っています。



うすいはなこ先生
日本料理料理人、江戸料理、干物研究家

食卓をつなぐ会主宰、日本食文化会議 運営委員。H-table cooking classでは栄養士向けの教室のほか、魚料理に特化した教室なども開催している。

http://syokutaku-tsunagu.com/about/about-hana/


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取材・文/新里陽子

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