煮込み料理をつくるとなると、どんな肉を使っていたとしても、じっくりコトコト煮込めばやわらかく仕上がるイメージがありませんか?
しかし、実際にやわらかくなるのはすね肉とタン、あとは……サシが入った高級肉だけだそう。今回、料理家・上島亜紀さんが教えてくれたのは少ない煮込み時間でつくる「ビーフシチュー」と「豚肉の角煮」。どちらもちょっとしたコツで、ワンランク上のできあがりに。
すね肉とタン以外は煮込んでもやわらかくなりません!
牛肉は煮込むほどやわらかくなると思われがちですが、すね肉とタン、あとは……サシが入った高級肉以外は、煮込んでもやわらかくなりません。ビーフシチューに、すね肉とタンが使われるのは、このためです。
ビーフシチューのレシピ
今回は、より手軽にできるように市販のデミグラスソースを使ったレシピをご紹介。上島さんからは「味に奥行きを加えるブーケガルニには挑戦してみてください」とアドバイスが。さらに、仕上げに生クリームを加えると、まろやかになり、とてもおいしくなるそうです。
材料(4人分)
- 牛すね肉(塊) 800g
- 塩・こしょう 各適量
- 赤ワイン 1カップ
- ローリエ 1枚
- にんにく 3個
- にんじん 3本
- 玉ねぎ 1/2個
- セロリ 1本
- バター 20g
- ブイヨン
・水 4~5カップ
・固形スープの素 2個 - デミグラスソース缶 1缶
- 生クリーム 100㎖
- ブーケガルニ 1袋
・ねぎの青い部分 1/2本
・セロリの葉 1/2本
・イタリアンミックスハーブ(乾) 少々
・粒こしょう 5粒
・ローリエ 1枚
つくり方
【すね肉の下準備】
- 脂身をキッチンばさみで取り除いた牛すね肉を8等分に切り、塩・こしょうをふり手でなじませ、30分室温に置く。
- 保存袋に1、赤ワイン、ローリエ、にんにくを入れて、冷蔵庫でひと晩置く。
- にんじんはシャトー切り(5㎝ほどのラグビーボール状)に、玉ねぎ、セロリは極みじん切りにする。
- すね肉は水気をふき取り、塩・こしょうをし、バターを熱したフライパンで両面こんがり焼く。
- 煮込み用の鍋に2の肉を入れる。
- 2のフライパンに1の玉ねぎ、セロリを加えて炒めてから3の鍋に移す。
- 4にすね肉の下準備に使った漬け汁、ブイヨンを加え、アクを取りながら煮立たせる。ブーケガルニを加え、落とし蓋と鍋蓋をして弱火で1時間30分煮込む。
- にんじんを加え、さらに20分加熱する。 デミグラスソースを加えてとろみがつくまで煮詰める。
- 仕上げに生クリームを加える。
ビーフシチューのポイント!
牛すね肉は、脂身をキッチンばさみで取り除き、室温に戻しておきます。大きな塊肉の場合は、大切な工程です。
長ねぎ、セロリ、ミックスハーブ、ローリエ、粒こしょうを、お茶パックに入れれば、自家製ブーケガルニのできあがり。
シチューを煮込むときも、煮物のように落とし蓋をするのがポイント。160℃に温めたオーブンで調理してもOK。
豚肉の角煮のレシピ
味がしっかりとしみ込み、お箸で切れるほどやわらかな角煮。 なるべく脂の少ない豚バラ肉を選び、煮汁をいったん冷やしてラードをしっかり取り除くのがポイントです。
材料(4人分)
- 豚バラ塊肉 800g
- しょうが 1カケ
- 合わせだし 4~5カップ
- 長ねぎ 1本
- 酒 大さじ2
- 砂糖 大さじ2
- しょうゆ 50㎖
つくり方
- 鍋に8等分した豚バラ塊肉、しょうが、酒100㎖(分量外)、肉にかぶるくらいの合わせだしを入れ加熱する。
- アクを取りながら沸騰させ、落とし蓋と鍋蓋をして1時間30分~2時間、豚バラ塊肉がやわらかくなるまで煮る。
- 2から豚バラ塊肉を取り出し、水で洗う。煮汁は冷蔵庫で冷ます。
- 冷めた煮汁から脂を取り除き、ねぎ、ひたひたの量の合わせだし、豚バラ塊肉、酒、砂糖、しょうゆを加え、落とし蓋と鍋蓋をして30分加熱する。
- 煮汁に照りととろみがつくまで煮詰めたら完成。
合わせ出汁のつくり方
材料(つくりやすい量)
- 水 2ℓ
- 昆布 1枚(約10㎝四方)
- かつお節(花がつお) 50g
【1】鍋に水と昆布を入れ、一晩つける(夏は冷蔵庫で保存します)。
【2】鍋を火にかけ、昆布の周りがフツフツしてきたら、かつお節を一度に入れる。再度周りがフツフツしてきたら火を止めて10分おく。
【3】ボウルに金属製のざるをのせ、キッチンペーパーを敷き、かつお節を濾して軽く絞る。
上島亜紀さん
料理家。食育アドバイザーやジュニア・アスリートフードマイスターの資格を持ち、幅広いレシピ提案で女性誌やメディアで活躍中。 『考えなくていい冷凍作りおき』(ナツメ社)など著書も多数。
撮影/安彦 幸枝 フードコーディネート/上島 亜紀 編集・文/梅津 有希子 WEB構成/長南 真理恵
Mart BOOKS
ファミレスよりおいしい 家ごはんの基本 より再構成