こんにちは!MartWEEKENDER、フォトグラファーのSOLAです。冬場は晴天が続きやすい山梨では、青い空に遠くまでクッキリ映えた山々が最も美しい季節です。
1月、森も、いよいよ冬の一番深いところへ。今月は、冬の森やキャンプに欠かせない「焚き火」の楽しみ方をご紹介してみたいと思います。
火とのつながりを取り戻す
都市部やオール電化の家に暮らしていると、「火」を起こしたことはおろか、日常で目にすることもないという方も多いかもしれません。
実際、現代では「火遊び」=「危ないもの、いけないこと」のように習ったりしますし、町中や公園では禁止事項。自宅にお庭があっても煙が近所迷惑になるということで「野焼き禁止」の町も多いようです。
だからこそ、キャンプ場や、安全な場所での焚き火の体験って、とても貴重だと思います。
2歳の頃のぼうや
6歳になり、立派な火起こし番長に
炎の心理効果
焚き火ブームと言われたりしますが、本来、火を扱うことは人間の暮らしの原点です。
暖を取り、闇を照らし、調理する。
雪の中、焚火で暖を取る
焚き火で焼く手づくりピザ
さらに、そうした用途以外にも、炎のゆらめき、はぜる音、香りなど、火は人の五感に働きかけ、心を落ち着かせてくれます。
原始人にも、きっとストレスはあったでしょう。現代にはない、生きるための苦労が。そんな彼らも、火を囲み語ることで、親密さをつないだり、美を感じたり、思い出を愛でたり、生きる力を湧かせたり……。そうして繋いできたDNAが、私たちの体にも流れています。
自分で拾ってきた枝を元手に、生き物のような火を育て、揺らぐ炎を見つめ、手のひらに暖かさを受け止める。そんな時間は、子どもたちはもちろん、大人の心にも、冒険心を刺激するとともに、静かな感動や安らぎを与えてくれることでしょう。
また、災害対策の観点からも、火を安全に扱えることは、生きる力の一つ。大人も子どもも、ぜひ身に付けておきたいスキルでもあります。
火起こしの方法
キャンプなどの際に我が家がやっている、火起こしの方法をご紹介します。
①まずは場所を整えよう
釜場やファイヤーサークルが在る場合はよいですが、直火となる場合は、焚き火台やシートで地面を保護したり、周りに落ち葉や紙類など燃え移りやすいものがないか確認。
②燃えやすい小枝や枝を集め、薪を用意して火をつけよう
最初に、焚きつけの新聞紙と小枝を置いて、火をつけます。その後、細い薪から太い薪へと順に火をつけていきます。
火おこしは、着火剤や火おこし器、ガストーチがあれば、コツも要らず簡単です。が、たとえ何も道具がないところからでも、これだけあれば火が起こせるというロマンチックなアイテムがあります。その名前は「メタルマッチ」。
金属棒を擦り合わせて出た火花を、燃えやすいものに引火させるという、いわば火打ち石のような道具です。引火物としては、麻紐をほわほわとほぐしたものなどが手軽です。
メタルマッチをこすり合わせます。
火花が出ました!
麻紐をほぐしたものに火花を引火させます。
男の本能でしょうか?6歳の息子は昨夏、これにハマり、延々やっていました。麻紐がない時は、その辺に落ちている乾いた木の皮を繊維状にほぐしてみたりと、工夫してサバイバルしていました(笑)。
初めは麻紐や薄い枯葉。小さく灯った火が、小枝へ。小枝に火がまわったら少し太い枝を。太い枝に火がまわったら大きめの薪を、と、小さい火から少しずつ大きな炎にしていけば、自然に炎が安定します。
※空気が乾燥した冬場、飛び火にはくれぐれもご注意を。
※バケツに水を用意しておくと安心です。
かんたん焚き火グルメ3選
寒い冬のアウトドア、モチベーションになりうるのは、やっぱり美味しいもの。複雑な調理いらずで、大人も子どもも即ハッピーな簡単グルメを3つ紹介します。
【1】焼き芋
シンプルレシピなのに、スイーツにも食事がわりにもなる優秀グルメ。中までほくほく焼き芋を失敗しないで作るコツは?
1 熾火(おきび)をつくる。
熾火とは、薪の芯の部分が赤くなり、炎を上げない状態のこと。
炎が上がっている状態は火力調節が難しいですが、熾火ならば食材との距離で調節できます。また、熾火は炎よりもやや低温なので、焼きむらを防いでじっくりと中まで火を通せます。
2 熾火を冷ましながらさつまいもを洗う
赤い熾火が出来たら、10分ほど冷ます。その間にさつまいもをよく洗い、塩をたっぷりとまぶします。
3 さつまいもを焼く
芋を新聞紙で巻いたらさっと水にくぐらせ、その上からアルミホイルでしっかりと包んで熾火の中に投入。15~20分後に掘り出して向きを変え、さらに20分加熱します。
4 串が通れば完成
串を刺してみて、すっと通ったらできあがり。余分な塩を払い落し、皮をむいてあつあつをパク!
【2】焼きみかん
こたつで食べてるだけじゃもったいない!焚き火でみかんを焼いてみましょう。爽やかな甘味と炭火のコクのマリアージュ。
弱火で、皮ごと、じっくりと。焼くことで成分が凝縮され、糖度が増すと同時に、栄養価や効能が高まります。無農薬のものを選び、しっかり洗って皮ごと食べればさらに◎。(免疫力や代謝UP、お通じにもプラスに)
使うみかんは元々甘いものより、酸っぱい安価なみかんほど、焼く恩恵が大きいです。
食感はほにゃっとして好き嫌いがあるかもしれませんが、マーマレードのジュレスイーツといった感じです。
【3】外カリ中トロのマシュマロの絶妙炙り
直接炎に当てると即焦げるか燃えます。遠めでクルクル回しながら、弱めの熱で炙るのがきれいにこんがりさせるコツ。長めの串を用意してあげて。そのまま食べても、ビスケットに挟んでスモアにしても、ココアに浮かべても。
部屋にこもりがちな子どもを誘い出したいなら、焚き火×グルメの最強タッグは試す価値ありです。
子どもの目に映る炎って、なんとも美しいもの。
焚き火をした記憶は、家族の心にじんわりと温もりを残すことでしょう。
この冬、ちょっと場所を探して、火に親しんでみませんか?
写真・文/SOLA