新年度が始まり、ご自身が仕事復帰をしたり、子どもたちが進級、進学で環境が変わったりと変化の多い時期。転勤や引っ越しで暮らしが変わる方もいらっしゃいますよね。今回、引っ越した友人から依頼を受け、キッチンのコーディネートをさせていただいたのでそのレポートです。
キッチンコーディネートをしてみたかった理由とは?
キッチンコーディネートは、一度やってみたかったんです。というのも、自分を振り返ってみると、
- インテリアや雑貨の雑誌や資料を幼いころから眺めていたこと
- 学生の頃からの趣味が食器集めなこと
- 食の仕事をしていること
- お料理教室を通じて生の主婦の声を反映できていること
などから無駄に知識はあったりします。
その知識を活用する機会をいただけたことがとてもうれしかったです。
ワーママに必要なのは、シンプルで便利なキッチン!
今回キッチンコーディネートをするのは、新築マンションのキッチン。依頼をしてくれた友人は2人の小さい男子がいて、この春から復職するワーママです。
ズボラな性格(本人談)なので、「これでいいや」と思ってそのまま、ということが多いそうです。そしてお料理がすごく得意というわけではないのだとか。
そのことからまず大切にしたいのは、「作業の効率化」かなと思いました。
ワーママさんなので時短で料理をするには、ワンアクションで取り出せて、調理作業も片付け作業もスムーズにする必要性があります。オシャレに飾る<シンプルで便利、というわけです。
まずはキッチンの全容を。「Ⅱ型」と呼ばれる、シンクとコンロが2列に分かれたタイプ。省スペースなのに作業スペースが広く、使い勝手がよいキッチンです。
備え付けの食器棚(炊飯器や電子レンジを置くペースあり)。
【ステップ1】全部出して「使う」「使わない」を分ける
実際に、どのようなステップでキッチンコーディネートをしていったかをご紹介します。
Beforeの写真を撮り忘れてしまったのですが、収納をのぞいてみると、引っ越し業者さんがとりあえず詰め込んだという様子でした(笑)。
まず問題だったのは、中身がカテゴライズされていなかったこと。あっちにもこっちにも洗剤があったり、あまり使わないものが手の届きやすいところにあったり。
Martistで整理収納アドバイザーの片岡さんにならって、まずは全部出します。そして、単純に使わないものを分けます。「いらないもの」ではなく「使わないもの」です。
キッチンではいただきものの食器や食品が多く存在します。それらは「使わなくても」「いる」場合が多いのです。「いる」「いらない」で分けるとモノは減りません。そこにこれはもらいものだからという「思い」が乗ってしまうから。
「使う」「使わない」にすると現実が見えてきます。「使わない」の中から確実に捨てられるものを排除します。壊れていたり、赤ちゃんのものだったり、明らかに趣味ではないものは思いきって処分しましょう。赤ちゃんのものは捨てがたかったら、おままごとに回したり、取っておきたかったら思い出として取っておきましょうね。
【ステップ2】カテゴライズしジャンルごとにまとめる
次はカテゴライズ。あちこちに分散していたものを、「掃除用具」「ジップ付き袋やラップ」「お弁当セット」……とジャンルごとにまとめていきます。
例えば食器棚の吊戸棚には、使用頻度の低いものから入れていきました。友人は背が低いので、高い棚は踏み台を使う必要があります。「滅多に使わないけど必要な物」は、手が届きにくい高い棚へ入れ込みました。一番下の段は使いやすいので、よく使うものを入れます。
保存容器や保冷バッグ、水筒、お茶セットはよく使うので下段。いただき物で捨てられないもの、卓上調理機器はその時が来るまで最上段で冬眠してもらいます。
【ステップ3】使用頻度別に収納していく
取り出しやすさは実際暮らしてみないとわかりませんが、使用頻度の高いものは手の届くところにしまう、が基本です。例えば換気扇横の吊戸棚にはラップとジッパー付保存袋をまとめました。
湿気が気になる「シンク下」「食洗機下」はしまうものを見直し
こうした基本を踏まえたうえで、気になるポイントをさらに整頓していきました。
シンク下にお米がしまわれていたのですが、シンク下は湿気があるので食品の収納には適していません。お米は炊飯器の下に移しました。
お米が入っていたところには、よく使うビニール袋を手前に。食洗機の洗剤やキッチン掃除の洗剤は取りにくくてもよいのでその奥に。ザルやボウルは「使わないもの」もありがちなので取捨選択して精鋭部隊を。ザルやボウルは多いと取り出しにくいので、少数精鋭がよいです。
シンク下の足元には、「あまり使わないけどたまに使う」という使用頻度の調理器具を収納しました。
食洗器の下の収納も湿気が気になる場所。さらに、低くて使いにくさがあるので、キッチンまわりのストック置き場に。
コンロ周辺の収納は取り出しやすさが大事!
コンロ横は最もよく使う引き出し。中身を全部出すと、確かにここで使うのですが明らかに使用頻度の低いものもちらほら。ここは“取り出しやすさ”命です。探さずに片手で取り出せるかどうか、がポイント!
こちらには泡だて器やポテトマッシャーが入っていました。確かによくここに収納しそうなものですが、普段あまり使わないので、違う場所にまとめることにしました。
キッチンの引き出しの中身出し。
大根おろしを良く使うというのでジャストフィットのものを提案し、買い直すことにしました。
調味料はコンロ右の調味料スタンドと左の大きな引き出しに分けました。右は本当によく使うもののみ!左には油やしょうゆなどを入れています。
ワンハンドで取り出せるように収納。粉ものもここにまとめれば迷子になりません。
ここに無理矢理ローリエが入っていたのですがそのせいで塩やコショウが取り出しにくくなっていました。ローリエは使用頻度が低いのでここじゃないのです。
そして大きなスペースがあるコンロ下。このスペースに入れるものを厳選すべく、家族構成やよく作る料理、1度に何個のフライパンと鍋を使うことが多いかとヒアリングして、必要な鍋の種類と量を割り出します。ワンハンドで取り出せるフライパン立ては必須です。鍋を切り替えるタイミングだったので、納得のいくアイテムを吟味し、引き出す度にテンションが上がる調理器具をそろえられました!
before。カタログで揃えたので愛着無し、もうテフロンが剥げていて使いにくい。同じ大きさの鍋が多い。
after。思い切ってオススメのお鍋に切り替え!!ルクルーゼは旦那さまからプレゼントしてもらえたそうです。雪平鍋とフライパンは私のオススメを。
その他、包丁を新調したいというので、そちらの提案もしました。
友人の感想を聞いてみると、「ワーママにとってキッチンの使い勝手は本当に大事。仕事終わってご飯作るのがしんどい時、包丁が切れる・鍋の煮込み時間が短い・フライパンが使いやすい、というのがこんなにストレスフリーになれるとは思っていなかった!」と言ってくれました。
使いやすい道具を提案して、使いやすく収納する。それが忙しいママを直接的に助けることに繋がるなんて、私の趣味も捨てたもんじゃないですね。これからも続けていきたいです。
写真・文/滝野香織
滝野香織
管理栄養士