産婦人科医の高尾美穂先生が、相談者の心に寄り添って優しくアドバイス!いつもはMart読者世代である30~40代女性のお悩みにお答えいただいていますが、特別編の今回は、子どもについてのお悩みにお答えいただきました。第10回の後編は、子どもの生理との付き合い方についてです!
教えてくれたのは
高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案す る一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っている。
【相談テーマ】子どもの生理の悩みに親はどう対処すればいい?
相談者:Nさん(46歳)
東京都在住
11歳の女の子の母
パート
子どもが生理痛で悩むときは、鎮痛剤を飲んで大丈夫です
Nさん:最近生理が始まった小6の娘は、「この先、生理痛が起きたらどうしよう」と心配しているようです。私があまり重くないので、どのように対処してあげたらいいか……。
高尾先生:生理痛は若いほうが重い方が多いです。まだ子宮が小さく、経血の出口も小さいためです。出口が狭いため子宮を握り潰してもなかなか経血が出ていかない、そのためさらに握り潰す……というイメージ。子宮が成熟すれば、痛みも軽減していきます。
Nさん:子どもに鎮痛剤を使ってもいいのでしょうか?
高尾先生:年齢に合った鎮痛剤であれば、使って大丈夫ですよ。もし不安ならば小児科や婦人科で相談すれば、子どもに使用することが多いカロナールなど鎮痛剤を処方してくれると思います。
Nさん:痛みが強くて辛いとなったら飲ませたらいいですか?
高尾先生:痛み止めは全般的に痛みが起きるのを抑制する薬なので、痛みがひどくなってからではなく、痛みを感じたら早めに服用するのがおすすめです。
Nさん:薬以外の緩和方法はありますか?
高尾先生:お腹を温めることで血流がよくなると、筋肉のコリによる痛みが緩和することも。ストレッチで改善することもありますよ。
生理についてオープンに話せる関係を築いて
Nさん:小さなことですが、娘はナプキンを変えるタイミングがいまいちわからないようで……。
高尾先生:初めの頃は、なかなかタイミングが難しいかもしれませんね。
Nさん:私自身も一生懸命説明はしているのですが、先日も突然量が増えたようで、姿勢やナプキンのずれなどで何度か下着を汚していました。
高尾先生:そろそろ変えた方がいいかな?と、判断するのが苦手な子どももいます。例えば、トイレに行くたびに変える、3〜4時間を目安に変えるなど、具体的に教えてあげると実践しやすいかもしれません。
Nさん:子どもの生理について、ほかにも親が気をつけるべきことはありますか?
高尾先生:生理について不安に思うことがあっても、恥ずかしくて誰にも相談できない子どももいます。量が多い、お腹が痛いといった悩みを、一人で抱えてしまうことも。
Nさん:確かに最初は、恥ずかしいと感じてしまうかもしれませんね。
高尾先生:生理のときはさまざまな不調が起こるかもしれないことを、しっかりと伝えておくといいでしょう。また生理が始まって間もないと、いつもと違うという感覚もわかりづらいもの。ちょっとしたことでも、痛みや量など不安を感じたらなんでも話してね、と伝えることも大切です。
Nさん:確かに子どもと生理についてオープンに話せる関係を築いていれば、悩みも相談しやすいかもしれませんね。
高尾先生:あとは生理が来るということは、体つきも大人の女性に近づいているということ。他人から性の対象として見られる可能性がある、ということをしっかりと自覚してもらうようにしましょう。
Nさん:そういったことはまだ話していませんでした。
高尾先生:世の中にはさまざまな趣味嗜好の人がいます。SNSなども普及している現代では、思わぬところでトラブルに巻き込まれてしまう可能性も。自分が性の対象だと自覚していないと、危険ですし自分の身を守れません。
Nさん:それは怖いですね。
高尾先生:危ない目にあわないためにも、「もし他人からなにか相談されたり連絡をもらったりしたら、お母さんに話してね」と伝えましょう。それが安全かそうでないかをいっしょに考えることで、理解していくと思います。
Nさん:大変勉強になりました。娘ときちんと話し合ってみたいと思います。
【高尾先生のお悩み処方箋】子どもの生理の悩みへの対処法
1.生理痛は痛み始めたら早めに鎮痛剤を飲むのがおすすめ
2.痛みがあるときは、お腹を温めたり、ストレッチをするのも◎
3.生理に関してオープンに話せる環境をつくる
4.性のトラブルに巻きこまれないようにしっかり話し合う
【相談を終えて】生理のほかいろいろ話しやすい関係づくりをしたいです
私も女性なのである程度の知識はありますが、子どものこととなると「大人と同じでいい?」「どう対応すればいい?」などの不安があったので、アドバイスをいただき安心できました。心配な部分もありますが、なにかあれば小児科や婦人科で相談してみようと思います。
生理以外でも、これからの思春期の時期など、話しやすく相談しやすい親でありたいですね。
娘にも早速、お腹を温めるといいよ、など教えていただいたことを話しています。
撮影/中林 香 取材・文/酒井明子 編集/倉澤真由美