【専門医がアドバイス】低用量ピルが気になります

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女性にとって気になる存在の「低用量ピル」。そのイメージは人によってさまざまかもしれません。知っておきたい低用量ピルの基礎知識のほか、意外に知られていない低用量ピル以外の選択肢について産婦人科医の宋先生にお話を聞きました。

教えてくれた専門医

丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄先生
大阪大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院産科婦人科に入局。その後、川崎医科大学で講師を務め、ロンドン大学病院に留学。帰国後、産婦人科医として都内の病院で診療に従事。メディアなどへの積極的露出で女性の性、妊娠などについて啓蒙活動を行う。

低用量ピルは月経困難症やPMSに 効果のある女性ホルモン剤

低用量ピルとは、女性ホルモン剤のことで、2つの女性ホルモンが配合されています。一つは「黄体ホルモン」で、排卵を抑え子宮内膜が厚くなるのを防ぎます。もう一つは「卵胞ホルモン」で、不正出血を起きにくくします。女性のカラダはこの2つのホルモン量が上昇・下降することで、排卵や月経、妊娠をコントロールしています。低用量ピルを継続的に飲むと、体内で分泌される女性ホルモンが一定に。その結果、避妊効果や月経痛の緩和のほか、PMS(月経前症候群)にも効果があります。さらに子宮体がん、卵巣がん、大腸がんのリスクが下がるメリットも。デメリットは、血管に血のかたまりが詰まる「血栓症」のリスクがあること。とはいえ、低用量ピル服用による血栓症リスクの割合は1万人に3~9人。最も血栓症リスクが高いといわれる分娩後12週の女性で1万人に40~65人のリスク割合なので、劇的に高くはありません。ただし、40歳以上の女性は血栓症リスクが上がるので、服用を希望する場合は医師と相談を。

40代以降の人は黄体ホルモン製剤がおすすめ

黄体ホルモン製剤は、子宮内膜の増殖を抑えます。経血量を減らし(月経がなくなる場合も)、過多月経や月経痛に効果があるほか、避妊効果も。血栓症リスクがなく、40代以降におすすめです。ただし、PMSへの効果が期待できないのがデメ
リット。黄体ホルモン製剤は、飲み薬タイプの「経口黄体ホルモン」と、医師により子宮内に装着する「子宮内黄体ホルモン放出システム」の2タイプがあります。「経口黄体ホルモン」は毎日飲む必要がありますが、 「子宮内黄体ホルモン放出システム」は一度装着すれば最長で5年間効果が持続し、手間や費用を抑えられます。

低用量ピル&黄体ホルモン製剤 ここが知りたい!

Q:低用量ピルを服用すると、更年期症状を抑制する効果がありますか?

A:確かに低用量ピルは更年期症状に対する効果もありますが、更年期症状への対策に使うにはホルモン量が多いので、ホルモン補充療法(HRT)のほうがおすすめです。もし黄体ホルモン製剤を使っている場合は、ジェルやパッチでエストロゲンを補充するだけでOK。経皮薬で肝臓にやさしく、ホルモン量が少ないので血栓症リスクも下がります。

Q:黄体ホルモン製剤のやめどきはどうやって決める?

A:黄体ホルモン製剤を使うと月経がなくなる場合もあるので、閉経まで使う、などの判断がしにくいもの。ホットフラッシュなどの更年期症状が出てきたら、一度休薬したり、子宮内に装着した子宮内黄体ホルモン放出システムを取り出したりして、ホルモン量を検査し、今後また続けるかやホルモン補充療法を併用するかなどを医師と相談しましょう。

編集部が選んだキーアイテム3選

【1】生理は我慢するべきもの? 自分のカラダをよく知ろう!

めんどうな毎月の生理への対処法から、妊活、子宮にまつわる病気まで、女性の知りたいカラダのアレコレを教えてくれる
一冊。低用量ピルについてもわかりやすく解説しています。 『医者が教える 女体大全 オトナ女子の不調に効く! 自分のカラダの「取扱説明書」』宋 美玄/著ダイヤモンド社 ¥1,430

 

【2】アプリを利用して安全なピル服用を

「低用量ピルは服用初期に、頭痛、吐き気、不正出血などの副作用が起きる場合も。その場合は違う種類のものを選ぶなどの対応ができるので、医師に相談を」 (宋先生)。こうした副作用の症状を医師と共有するために役立つアプリ。ピルの服用をサポートしてくれます。 「ルナルナ ピルモード」 (エムティーアイ)

 

【3】「飲み忘れた!」というときもこれさえあれば安心!

毎日欠かさず服用しなくてはいけない、低用量ピルや経口黄体ホルモン製剤。忙しくてうっかり忘れたときなどに備えて薬を持ち歩いていれば、飲み忘れてもすぐ服用できるので安心です。ポーチやペンケースに入れてもなじむ、キュートなケース。ピルケース/ピンク20、ブルー80、パープル90、グリーン71、イエロー61 各¥165(niko and…)

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取材・文/須賀華子  構成/富田夏子

Mart2020年12月号 私も家族も元気でHAPPY 「カラダの疑問に答えます」より

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